「冷えは万病の元」女性に多い冷え性の改善
冷え(冷え性)と言われてもなかなかピンと来ない人もおられると思います。それは病気でも無いですし、自分ではなかなか気が付かない症状だからです。しかし一方で「冷えは万病の元」と言われるように、徐々に体にとって良く無い状態を作り出してしまうことも事実なのです。冷えを一言で表すと「血液の流れが滞っている状態」です。この状態を改善することで体や健康にとって良い環境が整います。
この記事では「冷え」について詳しくお話させて頂きます。
1.冷え性とは
冷えや冷え性と呼ばれる状態は、血液循環の滞りによって身体中の体温が下がってしまっている状態です。本人が体感できる症状としては手足が冷たい、お風呂に浸かると体の中が冷んやりと感じるなどがあります。
体温が下がる仕組み
身体中が冷えてしまうメカニズムとしては血液の流れが悪い状態が冷えを招きます。
体内には地球を2周半ほどの長さの血管が、隅から隅まで通っています。この血管に血液が淀みなく流れ続けることで体温がムラなく隅々まで届けられています。
しかし、全体の血流が低下したり、局所的に血液の流れが悪くなると血液循環が良く無い所の体温は低下してしまうのです。
2.冷え性の原因
冷えの原因である、血液循環の低下は主に、血液中に含まれている「ヘモグロビン」というタンパク質の劣化と自律神経の調整作用によって起こります。つまり1つは体内に原因があり、もう1つは環境に原因があるということです。
血液の状態の悪化
血液は「赤血球・白血球・血しょう」などで構成されています。このうち血液の流れに大きな影響を与えるものが赤血球(ヘモグロビン)です。
ヘモグロビンは身体中へ酸素や栄養素を運ぶという働きを行なっています。このヘモグロビンの運動性が低く、状態が良く無いと隅々にまで栄養を運ぶことができず血液の流れも滞ってしまいます。
ヘモグロビンのサイズよりも細い毛細血管にも入るために「赤血球変形能」と呼ばれる形状変更を有するのも特徴です。
この変形能や運動性能が低下したヘモグロビンだと血液循環が滞り、体の隅々まで酸素や栄養素も運べず、冷えを誘発してしまいます。
環境の影響による血液循の低下
冷え性には血液の状態による冷えと、生活環境の影響を受けて冷える2通りがあります。
環境による冷え性を引き起こしてしまうのは、自律神経の働きによるもので、血管の収縮作用が関係しています。
例えば、夏場に冷房を効かせすぎると、寒冷刺激によって自律神経が血管の収縮させます。その結果、血液の通り道そのものが狭くなってしまうので血流は滞ってしまいます。
冬場の薄着にも同様の状態を招くことが安易に予想できると思います。
3.冷えは万病の元
体が冷える、つまり血液循環が滞ってしまうことが万病に繋がることには明確な理由があります。それは体温が下がると確実に免疫力が低下してしまうからです。
免疫力の低下
血液の状態、特にヘモグロビンの状態が悪いと血液の流れを阻害し血流が滞ります。さらに環境的な冷え要因も手伝うとなお冷え性になりやすいです。
このような血液循環が滞ってしまう状態になると、暖かい血液が全身を巡らないので体温は低下してしまいます。
体温、特に深部の温度が低下してしまうと、常に体を守ってくれている免疫力が低下します。
免疫力が低下してしまうと、風邪をひきやすくなったり、些細なことで体調を崩しやすくなる傾向にあります。
睡眠状態の悪化
睡眠は人が生きていくために必要な生命活動の一つです。しかし、冷えを患ってしまうことで睡眠に悪い影響を与えてしまいます。
睡眠は「寝つき→ノンレム睡眠→レム睡眠」という順序で起きますが、冷え性の方は「寝つき」に影響を及ぼします。
寝付く時に人の体は深部(体内)の熱を手足の先から放出することで内臓を休め睡眠に入りますが、冷えを患っていると体温調節がうまくいかないので寝付きが悪くなります。
冷えを改善するだけで、すっと眠れたりより良い睡眠を得られるのはこのためです。
4.冷え性を改善するには
冷えを改善するには「血液(ヘモグロビン)の状態を改善する」ことと「冷えを助長させる環境を改善する」ことです。特に後者の環境の方はセルフケアでの改善も容易です。
血液の質を改善する
ヘモグロビン(赤血球)は120日サイクルで「生産→破壊→生産」を繰り返しています。このヘモグロビンで重要なことは変形能をしっかりと発揮できるコンディションを保つことです。
ヘモグロビンはただ流されているだけではありません。変形するにあたりしっかりとエネルギーも使っているのです。
ヘモグロビンのコンディションを保つには「アミノ酸・鉄分・葉酸・ビタミンB12」という成分が必要になります。
冷える環境を改善する
夏場の冷房をやめるという話ではなく、必要な時以外は体を冷やしてしまう要因を減らしましょうというお話です。
例えば、冷たい飲み物は体内から冷やしてしまいますので、なるべく暖かい飲み物を飲むことをオススメします。
そして空調に関しても、ちょうど良いと感じる温度から1〜2度は高めに温度設定することをオススメします。
就寝時も、常にエアコンをつけるのではなく、数時間後にオフになるようにタイマー設定を行うとなお良いです。
入浴に関しても、シャワーで済ませるのではなく、お湯に浸かり体を温めると血管が拡張し血液の流れが良くなりますよ。